呼吸器内科
呼吸器内科
呼吸器内科で診療する病気は幅広く、一般的なかぜからインフルエンザ・コロナなどのウイルス感染症、肺炎、肺結核、非結核性抗酸菌症、真菌症、気管支喘息、気管支拡張症、肺癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎、睡眠時無呼吸症候群など多岐にわたります。花粉症にも対応しております。
以下のような呼吸器症状がある場合は、ご相談ください。
かぜは正式には「かぜ症候群」といって、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、痰などを主症状とする上気道(鼻やのど)の急性炎症の総称です。発熱、咽頭痛、頭痛、全身倦怠感、食欲低下などを伴う場合もあります。
原因微生物の80~90%はウイルスが占めており、粘膜から感染して炎症を起こします。インフルエンザ、コロナなど、抗原検査で病原体を同定することもあります。基本的には、出ている症状を軽減し、自己治癒力を高める対症療法を行います(安静、水分摂取、解熱鎮痛剤など)。
症例によっては、抗ウイルス薬の適応を検討しますが、副作用とのバランスを考慮することが重要です。
肺炎には細菌性肺炎とウイルス性肺炎、その2つの中間的な性質をもつ非定型肺炎の3つがあります。
細菌性肺炎は、肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌などの細菌が原因で起こり、湿った咳とともに、黄色や緑色を帯びた痰が出ることがあります。
ウイルス性肺炎はインフルエンザウイルス、コロナウイルスなどのウイルスが原因で起こり、かぜの症状に続き、咳、呼吸困難などが表れます。2021年に流行したコロナウイルスは別として、一般的に、小児に比べると成人では比較的稀な病態です。
ウイルス肺炎単独より、ウイルス感染を契機とした細菌性肺炎を生じるケースが多いです。非定型肺炎はマイコプラズマやクラミジアなど、細菌とウイルスの中間的な性質を持つ微生物が原因で起こり、乾いた強い咳が出るという特徴があります。症状だけでは鑑別が難しいことがあり、問診、各種検査を行い、治療を開始します。
肺結核・非結核性抗酸菌症は、同じ抗酸菌症ですが、肺結核は人から人に感染し、非結核性抗酸菌症は人から人には感染しないと言われています。
いずれも咳、痰、血痰以外にだるさ、発熱、寝汗、体重減少などを伴うことがあります。2週間以上咳が続く場合は、基本的にX線検査を施行します。
いずれも画像検査で特徴的な陰影で可能性を疑い、喀痰検査、血液検査、気管支鏡検査などを施行して診断をします。薬剤感受性を調べたうえで、肺結核は抗結核薬、非結核性抗酸菌症はクラリスロマイシン+抗結核薬で治療をします。
肺結核はしっかりと投薬ができればほぼ治る疾患となっています。一方、非結核性抗酸菌症は、治療の必要性は個々の症例で判断します。完全な除菌は難しく、治療が必要なケースでは、治療終了後も再発することがあり、再発時には再び治療を再開します。
真菌はカビの仲間で、肺真菌症は真菌を吸い込むことによって発病します。アスペルギルス、クリプトコッカス、ムコールといった菌種があります。基本的には、免疫抑制状態や肺に空洞など脆弱な部分があると発症することが多いですが、クリプトコッカスは基礎疾患のない健康な人にも発症することがあります。発熱、咳、痰、血痰、呼吸困難などが出現します。
画像検査で可能性を疑い、喀痰検査、血液検査、気管支鏡検査などで真菌を証明して診断します。抗真菌薬で治療しますが、手術を考慮する場合もあります。
咳は気道内にある異物を排出するために起こる体の防御反応です。かぜを引いたときに鼻汁やのどの痛みなどと一緒に咳を経験しますが、この場合、十分な栄養や睡眠をとって養生すれば、多くは3週間以内に治まります。
しかし、中には咳がなかなか治らず、長引くことがあります。咳はその期間によって急性の咳(3週間未満)、遷延性の咳(3~8週間)、慢性の咳(8週間以上)の3つに分類されます。
3週間以上続く場合、ただのかぜではなく、気管支喘息、肺結核など他の病気が原因になっている可能性があります。長引く咳は原因を特定した上で治療を行うことが大切です。早めの受診をお勧めします。
先天的要因、繰り返す感染、膠原病などが背景にあり、気管支の壁が壊れたり、弱くなる疾患です。気管支の壊れた部分では感染を繰り返しやすくなることがあり、炎症が起こるとさらに気管支拡張が進みます。血痰が出ることもあります。
画像検査で気管支拡張があるかどうかを診断します。副鼻腔炎(蓄膿症)を合併するケースもあります。
症状が軽度であれば経過観察をすることもありますが、マクロライド系抗菌薬を少量、長期に投与して炎症を抑えます。感染時には適切な抗菌薬で対応します。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、慢性気管支炎や肺気腫などの病気の総称です。主な原因はタバコや加齢といわれています。気管支の炎症により咳や痰が慢性的に出たり、肺胞の破壊(肺気腫)、気管支の狭小化、肺の弾性力低下により、息苦しさを自覚します。
特に、歩行時や階段昇降など、身体を動かした時に息切れを感じる労作時呼吸困難が特徴です。進行すると、日常生活に支障をきたすことがあります。また、COPDは全身に炎症を起こすことがあり、心血管疾患、骨格筋低下、栄養障害、骨粗しょう症、糖尿病などの合併症を伴うことがあります。
早期に診断を受けて治療を開始すれば、呼吸機能の低下を食い止められ、健康な人と変わらない生活を続けることができます。少しでも軽症のうちに発見して治療をはじめることが重要といえます。
肺を構成している肺胞に炎症や損傷が起こり、肺が固くなる線維化を生じ、酸素を取り込みにくくなる疾患です。原因は特発性(原因不明)が多く、その他膠原病、薬剤性などがあります。喫煙、粉塵・アスベストといった何らかの吸入が関連しているケースもあります。
問診、聴診、画像検査、呼吸機能検査、気管支鏡検査などにより総合的に判断します。特発性の場合、抗線維化薬(ピルフェニドン、ニンテダニブ)といって、進行を抑える治療を導入します。特発性でも進行が速いケース、特発性以外の間質性肺炎ではステロイド、免疫抑制剤の適応を検討します。呼吸不全の状態によって、在宅酸素療法を導入します。
当院院長は、抗線維化薬の中でも、ピルフェニドンの臨床研究に携わって参りました。安全に使用できる薬剤であり、外来でも導入できます。一連の検査は総合病院でお願いすることになりますが、抗線維化薬の適応と判断された場合、当院でも十分に治療ができます。お気軽にご相談ください。
いびき、睡眠中の呼吸停止、眠気、夜間頻尿、起床時の頭痛などを呈します。10秒以上呼吸が止まる「無呼吸」や呼吸が弱くなる「低呼吸」が、1時間に5回以上繰り返される状態をいいます。
肥満により気道が狭くなることが原因としてよく知られていますが、日本人の場合、顔の前後径が短い、あごが小さいといった骨格のために、肥満がなくてもSASを発症することがあります。その他、扁桃肥大、鼻炎・鼻中隔弯曲といった鼻の疾患も原因になります。
睡眠中の低酸素状態が続くと、将来的に高血圧、心筋梗塞、狭心症、脳卒中、生活習慣病を発症するリスクが生じます。
問診でSASが疑われる場合、自宅で簡易検査を施行し、1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数(AHI)が40以上だと、CPAPという在宅で使用できる人工呼吸器の適応となります。AHI40未満の場合は専門施設で一泊、脳波を含めた精密検査を行い、AHI20以上でCPAPの適応、20以下ではマウスピースを歯科で作成することがあります。
AHI30以上の重症SASでは、心血管疾患のリスクが約5倍になりますが、CPAP導入によって健常人と同等まで死亡率を低下できることが明らかになっています。